2010年5月25日火曜日

呉羽の舎

白井晟一設計の富山県の呉羽にある個人住宅。竣工が1965年だから40年以上経っている住宅である。なぜ省エネのカテゴリーで取り上げるかというと、庇の出寸法に着目したからである。この住宅の軒の出は1800mmもある。直射日光との関係を考えるモデルにちょうどよいと思ったからである。



この住宅の居間に差し込む直射日光について庇の出寸法を変化させてどう変わるかを調べてみたい。



そのために現在モデリング中である。



Model1_2



モデリングの途中だが、こんな感じの平屋の住宅である。屋根勾配は2寸2分と緩く庇の出が大きいため、かなり安定した外観である。



Model2



試しに、影をつけてみた冬至の時期でも庇がかなりの影を落としているのがわかる。





2010年5月12日水曜日

光の教会

5月9日に、大阪の茨木春日丘教会に行った。安藤忠雄設計の光の教会だ。日曜礼拝に参加させてもらった。10時30分から約1時間、心地よい時間を過ごした。



Kasugaoka_hall



有名な、十字架の光が降り注ぐ礼拝堂。



この写真は、礼拝が終わった後なので人は少ないが、礼拝には約70人の信者の方が参加される。そしてそのうち新規参加者が14人いた。新規の人は多分建物見学が目的の人(私も含めて)だろうが、世界中から来ていた。



礼拝は、分厚い聖書と讃美歌集を事前に渡され、パイプオルガンの演奏から始まる。牧師の聖書朗読や全員の讃美歌合唱、伝道師の説教などで礼拝が進んでいく。最初は戸惑ったが、今回はキリスト復活にテーマを絞り、聖書朗読、讃美歌の選択、説教 全てそのテーマにそって行われる。聖書の中に、映画ダビンチコードで有名になったマグダラのマリアが登場したこともあり、興味が無かった私もだんだん興味がわいてくる。しかし内容の興味というよりはテーマに合った讃美歌の選択など礼拝の構成への興味なのかもしれない。
近くに住んでいれば次回も出席したくなる内容だ。
それにしても沢山ある讃美歌の中からその日のテーマにあった讃美歌を選ぶだけでも大変だと思うが、合唱時に皆さん音階や歌詞をほとんど覚えているようなので、相当勉強されているのだろうと感じた。



Kasugaoka_hall_organ



礼拝堂・・・牧師席から後方を見る。最後部にパイプオルガンが設置されている。



建築的には素晴らしいと思ったこと、うーんと呟いてしまったところと2つあった。
素晴らしいと思ったのは、牧師や伝道師の説教はマイクを使うが、礼拝堂は高いところで7mくらいなのに壁・天井はコンクリート打ち放しが殆どで残響時間は長く、目をつぶっていると大ホールにいるような感じを受ける。



Bokushi_table



教壇・・・家具には統一して十字がデザインされている。写真が赤みがかっているのは電球色の照明で照らされているため



Syomei



教壇を照らす照明スタンドとスピーカー・・・光の十字架を背負う形の教壇は逆光になり、照明がないと牧師の姿がシルエットになってしまうからだろう



讃美歌は、礼拝堂の後部に大きなパイプオルガンがありその演奏に合わせて合唱する。打ち放しの吸音のない空間で70人の合唱など反響して明瞭に聞こえないのではないかと思ったが、いざはじまると、逆にものすごい迫力で、歌声もオルガンの音も明瞭に聞こえる。エントランスを形成する斜めに貫入した壁が礼拝堂の左右対称を崩し音響的にも良い結果が得られているのではないかと素人的に思っているが、これが意図されたものだとすれば素晴らしいデザインだと思う。



逆に、礼拝堂の光の十字架は透明ガラスが使われている。上の写真のように室内全体を写すと露出の関係で白く飛んで十字架の形がはっきり分かるが、実際はこんな感じで外部が見えている。



Cross_slit



光の十字架ディテール



この日の伝道師の説教の中に、“ここに居る皆さんは十字に縁取られたの光の中にいて”  というような表現があったが、まさにその時この十字架を見上げるとガラス越しに外の電柱や電線、植栽などが目に入ってきた。十字の形よりも外部の景色に目が行ってしまう。“うーん”である。



建築のマテリアルとして乳白ガラスの選択はないだろうが、光の効果としてはありかな?と思う。
しかし、1時間 2列目の席に座っていたが大変魅力的な空間なのは確かである。



礼拝の最後に信者代表(長老)の方が、新規参加者一人一人を、どこから来た誰それさんと紹介してくれ、全員の拍手で歓迎される。また、誰かが結婚するとか、入院して手術する人がいると全員でお祈りするなど、牧師⇔知らない個人の集まり ではなく信者同士でいわゆるコミュニティが形成されているようだ。
キリスト教に興味がない人には教会の礼拝など敷居が高くどんなことがそこで行われているか全く解らない。
ここは世界的に有名な建築家の設計であり、教会建築というハードの見学を日曜礼拝と絡めて行うことが可能なために教会のソフト面の紹介を同時に行うことができる。牧師の布教へのしたたかな戦略が見えた気がした。と同時に教会のコミュニティの温かさも実感できた1時間だった。



Kyokai_hall



日曜学校・・・正面の十字架は一日夏期学校で子供たちが作ったものだそうだ



Kyoukai_hall_wall_to_wall



日曜学校コーナースリット見上げ



Exterior_side



エントランス・・・礼拝堂の外壁



Exterior_cross



外部から見た礼拝堂



Hall_entrance



礼拝堂の入り口部分   



時間があればこの建物もモデリングし、見学できない夜間はどんな空間になるかシミュレーションしてみたい。



2010年5月7日金曜日

窓から入射する太陽光の量

省エネルギーで重要な要素は、外部からの熱をいかにいれないか、また外部へ出さないかである。良く住宅のコマーシャルなどでは外壁の断熱性を向上させて省エネを図ることが言われる。



外壁についてはこれで良いとして、開口部はどうだろうか?断熱性を高めるためにペアガラスを用いたり、ガラスに金属膜をコーティングして遮光性を高めたりして(所謂 高遮熱・高断熱のlow-eガラス)開口部の性能を向上させることは行われているが、所詮 開口部(窓)の断熱性は、いかに性能を上げたとしても、壁に比べて比較にならないくらい低い。



究極は窓がない建築が最も省エネ性が高いということになるが、窓がないため居住性は最悪となる。



オフィスを例にとると、最近は執務室の奥行きが20mを超えるのが当たり前の時代である。この奥行きに対して、開口部の面積が小さいとかなり居住性の悪い建物となることもあって全面ガラス張りの建物が主流になっていた。しかし、地球温暖化対策のため、省エネ法の改正や東京都の環境確保条例が施行されるなど、これからはガラス張りの建物は必要性能を満足できない時代がやってきそうである。



直射の影響は建物の方位や形状によって開口部の大きさへの影響は変化するのに対して、断熱性は方位や形状に影響されずに単に大きさに比例するはずである。むやみに窓を小さくしても居住性を悪くするだけなので効果ある窓の方位や形状が判断できる材料がシミュレーションで可能かどうか検討してみたい。



また、上記で求めた最適解の場合に、自然光だけでの室内照度がどうなるかも併せてシミュレーションできれば、暗くなくて省エネな開口部の構成はどの様なものかが解るかもしれない。